前膠 Sizing

下地づくり
地塗り塗料を塗布する前に行われるのが前膠(Sizing)です。膨潤の時間が長く最も水の影響を受けにくいことから兎の皮から作られる膠が主に使われてきました。支持体と絵具層の絶縁をすることにより、メディウムの酸化が与える支持体へのダメージを回避すると同時に、板からの木材のアクが描画層に染み出してくるのを防ぎ、また、支持体と地塗り層との固着を強める働きも大事な役割です。キャンバスに塗布する場合、布の織り目の間を埋める目止め剤としての働きとともに、その接着力によって布の織り目を固定し、支持体としての「硬さ」を与えることも重要な点です。
地塗り層 (Ground)






地塗りの変遷 =カルシウム化合物
カルシウム化合物は太古の海に生息したプランクトンなどの死骸が層をなして堆積したものです。火山活動が少ないアルプス以北では白亜(炭酸カルシウム)層ができ、イタリア半島周辺では火山活動で出来た二酸化硫黄(亜硫酸ガス)と反応して出来たものが石膏(硫酸カルシウム)層です。下地づくりのそれぞれの材料は、その地域の地質に由来します。


