

黄金背景テンペラ画 Tempera Painting
絵を描くことは、古代から人々の創造力を引き出す素晴らしい方法でした。昔の人々は、動物の皮や骨、卵の黄身など、自然の素材を使って絵を描いていました。これらの素材を混ぜ合わせて、色鮮やかな絵を作り上げていたのです。
中世のヨーロッパでは、テンペラという技法が広まりました。テンペラは、ラテン語の「混ぜる」という意味の言葉から来ています。卵黄と酢を使って絵具を作り、絵を描く方法です。この技法は、エジプトのミイラ棺の肖像画やビザンティンのイコン画にも使われました。
テンペラ画の最大の特徴は、濡れているうちは水に溶け、乾くと水に溶けなくなることです。この柔軟性と堅牢性を兼ね備えた素材は、絵画技法に非常に有用でした。
ルネッサンス時代には、テンペラ画が宗教画として大きく発展しました。聖書は限られた聖職者のみが読み解くことができたため、一般の人々は絵画を通じてキリストの教えを学びました。黄金の背景と明るい色調のテンペラ画は、人々に感動を与え続けました。
テンペラ画の技法は、細い筆を使って短い線を重ねるハッチングという方法が特徴です。この技法によって、美しい階調を作り出すことができます。テンペラ画は、鮮やかな色調を放つ要因の一つです。
黄金に輝く金箔と明るい色調のテンペラ画。この豪華な組み合わせはまさに奇跡と言えるでしょう。テンペラ画の技法は、そんな中で開発され、試され、描かれてきました。その完成度の高さは、何百年もの間、人々を感動させ続けています。








参考文献:
マックス・デルナー「絵画技術体系」 紀伊 利臣 「黄金テンペラ技法」 三浦 明範 「静物画講座 No5」 高橋 常政 絵画技法体系 石原靖夫 「金箔地テンペラ画の実際」
他
下のヨーロッパ絵画の歴史は2018年LAPIS展にて配布した冊子のPDFです。


