Glue 膠 

兎の皮から作られる膠。古典技法では、このタイプの膠をよく使います。

 今の私たちには触れることは少なくなってきましたが、石油から作られる合成樹脂が生産されるまでは、膠は木工製品や合板の接着など接着剤としてあらゆるところで使用されていました。現在では、その柔軟性から楽器制作などでも使われ続けています。古典技法においてはこの膠が欠かせない素材なのです。

チョウザメの浮き輪から作られると言うアイシングラス。

接着剤としての膠は5000年以上前のシュメール時代から使用されていたと言われています。牛、鹿、兎、魚等の動物の皮革や骨髄を煮て濃縮させて固めて採られます。主たる成分はゼラチンで、不純物が多いほど色が濃く、獣などの独特の臭いを発します。その原材料からそれぞれ若干性質が異なって棒状、板状、粉末状など、さまざまな形状の製品があります。

 

これも兎膠です。(ドイツ製)

 一般的に絵画用に使用される膠は多少不純物を含み、骨よりも皮から採ったもの方が、柔軟性と耐久性があり適していると言われています。60度未満で温めるとゾル化して、冷やすとゲル化となって固化する性質を持ちます。作業中は一定の温度を保たねばならず、ゲル化したものも、再び温めて液状に戻しても使用できるのです。塗布した膠液の層はまず冷えてゲル化し、その後、水分が蒸発するにしたがって乾燥し、乾燥した膜は非常に硬くなります。しかし乾燥しても耐水性とはならず、湿気には大きな影響を受けてお湯には再溶解する特性を生かして。ヴァイオリンなどの楽器制作をはじめとする木工品の場合、修復の際に大きな利点となるのです。絵画や額縁においても、その柔軟性と耐久性が故に長きに渡って使われ続けられたのだと思います。その期間に人は最大限に活用して数多くの芸術作品も生まれました。購入した状態の乾燥膠は非常に長い期間経ったものでも使用できるのですが、水溶液にしたものは腐敗しやすく、冷蔵庫に保管しても最長1ヶ月前後が使用限度の目安となります。

 実は現在の我々の食品には、更に純度を増した「ゼラチン」が食品のゼリー、ヨーグルト、ハム、チーズ等のゲル化剤、増粘剤、安定剤としても多用されているのです。

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乾性油 Drying Oil

  植物の種子から得る乾性油は、油絵具の性質を決定します。油絵具は、酸素を仲立ちとする酸化重合により、時間をかけて乾燥し、不溶性になるのです。油の中に顔料を閉じ込め、体積を保ったままゆっくりと固まるため、艶や透明感のある発色を見せ、厚塗りによる質感表現や、画面上で絵具を動かしながらの描画が出来、乾くと不溶性となる性質は、重層的な色彩表現も可能とするのです。一方で、乾性油は黄変する性質があり、暗所においてそれは顕著です。しかし、再び明るさのもとに晒すことで、ある程度までこれを取り去ることができる。  亜麻仁油(リンシードオイル)は、亜麻の種子から採れるます。ヨーロツパ全土で使われましたが、特にフランドル地方で好まれました。乾燥性に優れ、丈夫な塗膜を作りますが、胡桃油や芥子油に比べて黄変しやすいのが特徴です。

加工油

  乾性油は目的に応じて加工します。加工油は、その乾燥速度や粘性の違いによって、絵肌に多様性をもたらすのです。  サンシックンドオイルは、乾燥が早く、強い粘り気があり、乾燥後は丈夫な塗膜を作ります。これは水の上に油を浮かべ、時々かき混ぜながら太陽光に晒して酸化重合を進めたものです。市販のものは水分を完全に飛ばすために加熱され、飴色になっています。自作する場合、加熱は必ずしも必要ではありません。  スタンドオイルは、強い粘り気を持ち、乾燥後は柔軟で丈夫な塗膜を作り、黄変も少ないのが傾向です。空気を遮断して高温で加熱重合させたものを指します。  ボイルドオイルは、乾性油を空気に晒しながら加熱することで酸化重合を促し、乾燥性を高めた加工油です。乾燥促進のために鉛やコバルト、マンガンを加える場合もあります。  ブラックオイルは、乾性油に乾燥促進の目的で少量の鉛白を加え加熱して化学反応させた速乾性の加工油です。加熱時間に比例して乾燥速度は増し、飴色から黒色へと変化し、他の油と調合して乾燥促進剤としても使用されました。

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