乾性油 Drying Oil

  植物の種子から得る乾性油は、油絵具の性質を決定します。油絵具は、酸素を仲立ちとする酸化重合により、時間をかけて乾燥し、不溶性になるのです。油の中に顔料を閉じ込め、体積を保ったままゆっくりと固まるため、艶や透明感のある発色を見せ、厚塗りによる質感表現や、画面上で絵具を動かしながらの描画が出来、乾くと不溶性となる性質は、重層的な色彩表現も可能とするのです。一方で、乾性油は黄変する性質があり、暗所においてそれは顕著です。しかし、再び明るさのもとに晒すことで、ある程度までこれを取り去ることができる。  亜麻仁油(リンシードオイル)は、亜麻の種子から採れるます。ヨーロツパ全土で使われましたが、特にフランドル地方で好まれました。乾燥性に優れ、丈夫な塗膜を作りますが、胡桃油や芥子油に比べて黄変しやすいのが特徴です。

加工油

  乾性油は目的に応じて加工します。加工油は、その乾燥速度や粘性の違いによって、絵肌に多様性をもたらすのです。  サンシックンドオイルは、乾燥が早く、強い粘り気があり、乾燥後は丈夫な塗膜を作ります。これは水の上に油を浮かべ、時々かき混ぜながら太陽光に晒して酸化重合を進めたものです。市販のものは水分を完全に飛ばすために加熱され、飴色になっています。自作する場合、加熱は必ずしも必要ではありません。  スタンドオイルは、強い粘り気を持ち、乾燥後は柔軟で丈夫な塗膜を作り、黄変も少ないのが傾向です。空気を遮断して高温で加熱重合させたものを指します。  ボイルドオイルは、乾性油を空気に晒しながら加熱することで酸化重合を促し、乾燥性を高めた加工油です。乾燥促進のために鉛やコバルト、マンガンを加える場合もあります。  ブラックオイルは、乾性油に乾燥促進の目的で少量の鉛白を加え加熱して化学反応させた速乾性の加工油です。加熱時間に比例して乾燥速度は増し、飴色から黒色へと変化し、他の油と調合して乾燥促進剤としても使用されました。

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Water Gilding 金箔水押し  

(Tecnica a Guazzo)

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 金箔は樹脂や油、合成樹脂、ニンニクなど様々な結合剤を使い、金メッキ(渡金)を施すために作品に接着することですることができます。
一方、この水押しとは水を使って金箔を作品に貼り付ける作業のことです。 この技法は13世紀からのイコン画、そして黄金背景テンペラ画にも使われ、現在でも額縁制作においても脈々と生き続けています。その特徴は、仕上げると黄金と見間違えるような輝きを伴うということです。それは他の金箔作業では決して見ることは出来ません。
石膏下地の上に金箔を施す箇所に箔下砥粉を塗ります。箔下砥粉はイタリア語ではボーロ、フランス語ではアシェット、英語ではボールスと呼ばれ、建築等に使用する砥粉と同質のものですが、肌理の細かいより上質のものです。  ボーロとは海底の海藻等が堆積して出来た珪藻土で、色としては黄、赤、黒、白等があります。
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デリケートな箔を磨くためのクッションの役割となり、その色は薄い箔を通過して箔の輝く色にも影響を及ぼします。
乾燥してから多めの水を置き、その上に金箔を置きます。その水が吸収地の石膏に吸われて、金箔が作品に密着するようにします。この時の金箔は艶消し状です。
生乾き時に瑪瑙棒で磨いてゆくと、石膏地までもが平滑になり、黄金の輝きが現れてくるのです。
様々な瑪瑙棒
下地の処理、金箔の置き方、乾燥のタイミング等が絶妙な条件で重なりあい、それらが完全に満たされた時に初めて素晴らしい輝きが出ます。 それまでの複雑な工程と、絶妙な条件が合わなければその輝きは決して現れることはない最も高度な技なのです。

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