Gold leaf 金箔 

 金は「永遠」という特質から、紀元前1200年頃に古代エジプトで既に金箔の製造が始まったと考えられています。 展性・延性が極めて大きく、微量の銀や銅とともに、0.0001mm(0.1ミクロン)の薄さまで金槌で叩き延ばして、1立方センチメートルの金から約10平方メートルもの金箔をつくることができるのです。 この大きな展性により、わずかな純金から広い面積にわたって上質な輝きと光沢が得られることから、古の時代から金箔を使った工芸品、美術品、建築物などにも幅広く表面装飾に多く用いられてきました。
金属箔の種類/含有率/厚み
 現在、日本の伝統的な金工芸は金沢市に集中し、そこで作られた金箔は金沢箔と呼ばれています。金沢箔は日本独特の箔打和紙が使われ、和紙の優れた特性を生かし、世界で最も極薄の金箔を作っています。金沢箔の金箔作りには、延性を増すためと色調を変化させるために微量の銀や銅を加えた合金が使われ、その量が少ないものから金箔1号色(青金)・2号色(中青)・3号色(中赤)・4号色(赤金)と呼ばれ、金の含有率が多くなるにつれ赤味を帯び、銀の量が多いと赤みは消失し、一方、銅を添加すると赤みを帯びます。  金箔以外の金属箔には、銀箔・洋箔(真鍮箔)・アルミ箔等があり、特に洋箔は金箔の代用箔として金色の額縁の大多数に用いられますが、古典技法の金箔技法の「水押し」と呼ばれる方法には洋箔の使用は展性に劣るため、他の金属箔が用いられるのは稀です。
その水押しにつきましては、Water Gildingからどうぞ 参考文献   フレーマー通信教育講座         ウィキペディア

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Glue 膠 

兎の皮から作られる膠。古典技法では、このタイプの膠をよく使います。

 今の私たちには触れることは少なくなってきましたが、石油から作られる合成樹脂が生産されるまでは、膠は木工製品や合板の接着など接着剤としてあらゆるところで使用されていました。現在では、その柔軟性から楽器制作などでも使われ続けています。古典技法においてはこの膠が欠かせない素材なのです。

チョウザメの浮き輪から作られると言うアイシングラス。

接着剤としての膠は5000年以上前のシュメール時代から使用されていたと言われています。牛、鹿、兎、魚等の動物の皮革や骨髄を煮て濃縮させて固めて採られます。主たる成分はゼラチンで、不純物が多いほど色が濃く、獣などの独特の臭いを発します。その原材料からそれぞれ若干性質が異なって棒状、板状、粉末状など、さまざまな形状の製品があります。

 

これも兎膠です。(ドイツ製)

 一般的に絵画用に使用される膠は多少不純物を含み、骨よりも皮から採ったもの方が、柔軟性と耐久性があり適していると言われています。60度未満で温めるとゾル化して、冷やすとゲル化となって固化する性質を持ちます。作業中は一定の温度を保たねばならず、ゲル化したものも、再び温めて液状に戻しても使用できるのです。塗布した膠液の層はまず冷えてゲル化し、その後、水分が蒸発するにしたがって乾燥し、乾燥した膜は非常に硬くなります。しかし乾燥しても耐水性とはならず、湿気には大きな影響を受けてお湯には再溶解する特性を生かして。ヴァイオリンなどの楽器制作をはじめとする木工品の場合、修復の際に大きな利点となるのです。絵画や額縁においても、その柔軟性と耐久性が故に長きに渡って使われ続けられたのだと思います。その期間に人は最大限に活用して数多くの芸術作品も生まれました。購入した状態の乾燥膠は非常に長い期間経ったものでも使用できるのですが、水溶液にしたものは腐敗しやすく、冷蔵庫に保管しても最長1ヶ月前後が使用限度の目安となります。

 実は現在の我々の食品には、更に純度を増した「ゼラチン」が食品のゼリー、ヨーグルト、ハム、チーズ等のゲル化剤、増粘剤、安定剤としても多用されているのです。

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