Tempera Painting  テンペラ画 

  • 中世のヨーロッパでは、動物の皮や骨、卵の黄身などの素材を混ぜ合わせて、色鮮やかな絵を作り上げていたのがテンペラです。。「テンペラ」はラテン語の「混ぜる」という意味の言葉が語源です。 その最大の特徴は、濡れているうちは水に溶け、乾くと水に溶けなくなることです。

Tempera Magra テンペラ・マグラ ー 卵黄 Egg Yolk                     

  • magraとはイタリア語の(痩せたとかほっそりとした)という意味があります。 5世紀から15世紀にかけての長い歴史の中で多くの画家たちによって使われ続けられ、テンペラ画といえば大半がこの卵黄をメディウムを使ったものを指すと言っても過言ではありません。
  • 卵黄で描かれた作品は宗教画として大きく発展し金箔を使った黄金背景とその明るい色は、人々に感動を与え続けました。

使用時期:5〜15世紀ルネッサンスまで

フラ。アンジェリコ 楽奏の天使

Tempera Grassa  テンペラ・グラッサ  卵黄+油性分   

  • grassaはイタリア語のgrasso(油分を含む)という意味で、15世紀のルネッサンス期には、より自然主義的な写実表現にマッチした絵具に改良され、卵のメディウムに油性分を加え、絵具の伸びを改善する処方が開発されました。油性分の混合により油絵具との併用も可能になりますが、卵黄テンペラに比べやや暗い発色になります。 加える油性分の量を調節することで、画面の発色を明るく、または、暗い濡れ色にすることもできるようになりました。伸びのあるメディウムで描きやすく、テンペラ画の中で最も堅牢性が高く、仕上げの最終ワニスの効果が描画中から確認しやすいという利点もあります。その代表的なものはボッティッチェリの「春」や「ビーナスの誕生」などです。彼の晩年の作品が暗い傾向にあるのは、テーマの変化と共に、油性分をやや多めに調整をしたからです。

Tempera Mista   テンペラ・ミスタ  全卵+油性分 

mistaはイタリア語のmisto(混合の、混成の)の意味です。 全卵を用いた処方です。これは卵と等量のダンマルワニス、または油、スタンドオイル、又は油性ワニスを卵に加えて全体をよくふり混ぜたものです。使用時には少量の水を加えます。エマルジョンの質が良く、冷蔵庫で1ヶ月程保存が可能です。 初期の油絵具は、透明性に富んでいたもののボディー感が希薄であったことは作品からうかがえます。イタリアではテンペラを部分的に彩色として使用されたのに対しフランドルでは、テンペラ絵具と油絵具の互層として絵が構成されました。このメディウムは全卵に樹脂と油を加えて作ります。テンペラによる下絵に油絵具のグラッシがのり、またテンペラ絵具による描起こしを行い、さらに油絵具のグラッシを重ねると言う工程を数度重ねて、テンペラと油絵具特長を生かした幅の広い表現を可能にしたのです。油によって重ねられた画面はしっとりとした濡れ色になり、そのグレーズによる発色の美しさは、現在においても特筆に価します。ファン・アイクの頃に発見され、これが油彩画の発端ともいわれています。

全卵1個分(通常サイズでは50ml)  
油性分 50ml(例えばダマール樹脂溶液70%、スタンド亜麻仁油30%)  
水 2~4容量

卵白  Egg White   Glair 

卵白は卵黄と分けて器に入れ、泡立て器でよく掻き混ぜ全体を泡だらけにします。そのまま冷所におき、一昼夜待って卵白の液部が泡から沈むのを待って、沈殿した液のみを容器に入れて用います。 このメディウムは油脂分が少なく透明で、そして脆弱で水に溶け易い物質です。羊皮紙のように薄くてしなる支持体に描かれる場合が多いため、厚塗りは避け、基本的には一層目から固有色で塗ってゆきます。極めて上品で顔料の質を美しく保つので白などの明るい色に用いたり、ある種の顔料の性質を存分に引き出すためには濃度が足りないために、アラビアゴムを添加する場合もあります。また、金箔技術のボーロを溶くのに用いられることもあります。

 

カゼイン・テンペラ

下のヨーロッパ絵画の歴史は2018年LAPIS展にて配布した冊子のPDFです。